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2007年5月 8日 (火)

「イザベル・アジャーニの惑い」〜アジャーニが惑うのはほんの一瞬だけ

この作品、原題はadolfeでコンスタンの原作の題名のまま。日本題名は「イザベル・アジャーニの惑い」。原作の題名の「アドルフ」では日本ではなんのことかわからないし(私も映画みるまで知りませんでした)、「惑い」だけよりはイザベル・アジャーニをつけた方が、興行的には成功するという考えなんでしょうね。でも、この題名だと「惑う」のが、アジャーニ演ずるエレノールのような印象を受けてしまいますよね。エレノールが「惑う」のは、ほんの最初の恋のきっかけだけ。作品を通してずっと「惑う」のは、スタニスラフ・メラール演じるアドルフのほうなんです。ではいつものように(笑)、goo映画さんであらすじを。

「あらすじ - イザベル・アジャーニの惑い(2002)」(goo映画)

さあ、いかがでしたか?わたしは、DVD で観て、原作を読んで、またDVDを観ました。原作はアドルフの独白が大部分を占める、題名通りアドルフの物語です。エレノールにイザベル・アジャーニのような個性の強い女優さんをもってきているにもかかわらず、ほぼ忠実に原作のもつテイストを映像で再現しています。「アデルの恋の物語」「カミーユ・クローデル」では精神に異常をきたし男性を追っかける役を好演していますが、本作品のエレノールは普通の範囲で情の深い女性です。そんなエレノールをほんとにアジャーニが静かに好演してます。

この物語はいくつかある男女の愛の形のなかでも、かなりポピューラーなパターンのものですが、それを凡庸にならず、また奇抜にもならず、2人の心の動きを静かに坦々と表現しています。それでいて退屈せずに最後まで鑑賞できるのは、映像が素晴らしく美しいのも一因です。また、音楽も1旋律だけ(多分)を繰り返し使っていて、それでいて十分な効果を上げています。ハリウッド映画ではとてもまねできない秀作ですね。アドルフが主役ではありますが、私としてはすっかりエレノールに感情移入してしまいました。男女それぞれによって感情移入する役も異なってくると思います。個人的にはこういう男性には入れ込まないのが幸せかとは思います。

終幕近くのポーランドの雪景色、その中に二人がとけ込んでゆく。本当に美しいです。是非一度、映画館の大きなスクリーンで観たい映画です。

 

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コメント

TB&コメント有難うございました。

私はロシア文学が専門ですが、実はフランス文学も好きでして、バルザックやスタンダールを愛好しております。彼らよりもっと前に書かれたフランス恋愛心理小説の傑作がコンスタンの「アドルフ」。寧ろ「アドルフ」のタイトルのほうが私には解りやすかったのですが。

イザベル・アジャーニが出世作「アデルの恋の物語」にも通じる激情を示しまして素晴らしかったですね。
しかし、この次の作品の彼女がひどく太っていたのがデビュー当時からのファンとしては気になるのです。

投稿: オカピー | 2007年5月 9日 (水) 03時05分

オカピーさん、コメントとTBありがとうございます。私はフランス文学よく知らないんですが、バルザックといえばトリュフォーの映画によく出てきますよね。ロダンのバルザック像が出てくるのは「恋のエチュード」でしたっけ。またよろしくね。

投稿: ひよりん | 2007年5月 9日 (水) 21時10分

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» 映画評「イザベル・アジャーニの惑い」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆(6点/10点満点中) 2002年フランス映画 監督ジャン・ブノワ ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2007年5月 9日 (水) 02時57分

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